2012-01-31

My Videos: The Schumanns - 投稿動画: シューマン夫妻

Robert Schumann - Paganini Studie, Op. 3 Nr. 3 C-dur Andante
Robert Schumann / Clara Schumann - Der Nussbaum, Op. 25/3

今回はシューマン夫妻に関する曲を2曲。パガニーニのヴァイオリン独奏曲のロベルト・シューマンによるピアノ独奏編曲、それからロベルト・シューマンの歌曲のクララ・シューマンによるピアノ独奏編曲です。

Robert Schumann - Studien für das Pianoforte nach Capricen von Paganini Op. 3 (1832); Nr. 3 C-dur Andante

イタリアの大ヴァイオリニスト、ニコロ・パガニーニ (1782 - 1840) の代表作、ヴァイオリン独奏のための24のカプリス作品1。いろいろな楽器用に編曲もされていますが、ピアノだとまず名前が上がるのがフランツ・リストによる6曲のパガニーニ大練習曲でしょう。それに先駆けてロベルト・シューマン (Robert Schumann, 1810 - 1856) もパガニーニのカプリスに基づいた全12曲の練習曲(作品3と作品10)を書いています。このハ長調の作品3の3はカプリス第11番のうち序奏の Andante を編曲したもので、技術的には12曲の中で最も易しく書かれています。

Robert Schumann / Clara Schumann - Myrthen, Op. 25; Nr. 3 Der Nussbaum

ロベルト・シューマンの歌曲のピアノ独奏用編曲というと、これもまたフランツ・リストによるものが有名ですね。ピアノ奏者として活躍したロベルトの妻のクララ (Clara Wieck-Schumann, 1819 - 1896) もまた編曲を残しています。リストによる編曲は華麗で演奏効果も抜群ですが、原曲の雰囲気を味わうにはクララによる編曲のほうがいいかもしれません。これは歌曲集「ミルテの花」作品25の中の第3曲「胡桃の木」をクララ・シューマンによる編曲で弾いています。



2012-01-18

My Videos: Mendelssohn Family - 投稿動画: メンデルスゾーン一族

Felix Mendelssohn / Friedrich Hermann - Symphony No. 5 in D, "Reformation", Op. 107; Mov. 3: Andante (arranged for Piano Solo)
Fanny Mendelssohn-Hensel - 4 Lieder für das Pianoforte, Op. 6; Nr. 4. 'Il Saltarello Romano'
Arnold Mendelssohn - Albumblatt in D major

今回はメンデルスゾーン一族の作曲家によるピアノ曲を3つ。ファニーとフェリクスの姉弟は有名ですね。もう一人、アルノルトの作品も紹介します。

Felix Mendelssohn / Friedrich Hermann - Symphony No. 5 in D, "Reformation", Op. 107 (1830); Mov. 3: Andante (arranged for Piano Solo)

いわずと知れたロマン派初期の大作曲家、フェリクス・メンデルスゾーン (Felix Mendelssohn, 1809 - 1847)、その宗教改革交響曲の緩徐楽章として置かれた第3楽章 Andante をフリードリヒ・ヘルマン (Friedrich Hermann, 1828-1907) によるピアノ編曲で演奏しました。

Fanny Mendelssohn-Hensel (1805 - 1847) - 4 Lieder für das Pianoforte, Op. 6 (1847); Nr. 4. 'Il Saltarello Romano'

フェリクスの姉、ファニー・メンデルスゾーン (Fanny Mendelssohn-Hensel, 1805 - 1847)、結婚後のファニー・ヘンゼルの名でも知られていますね。優れたピアノ奏者でもあった彼女は、ピアノ曲と歌曲を中心に600曲近い曲を遺したということですが、生前に出版されたのは作品6までのごく一部の作品のみです。作品6の終曲、「ローマのサルタレロ」。1839年に夫ヴィルヘルム (Wilhelm Hensel, 1794 - 1861) と息子ゼバアスティアン (Sebastian Hensel, 1830 - 1898) とともに旅したイタリアの印象を元に書かれたのでしょうか。休みなく続く三連符による小品です。

Arnold Mendelssohn - Albumblatt D-dur (1907)

有名なメンデルスゾーン姉弟の従弟の子にあたる作曲家、音楽教育者のアルノルト・ルートヴィヒ・メンデルスゾーン (Arnold Ludwig Mendelssohn, 1855 - 1933)。もう少し詳しく言うと、メンデルスゾーン姉弟の父アブラハム (Abraham Mendelssohn, 1776 - 1835) の弟ナータン (Nathan Mendelssohn, 1781 - 1852) の孫にあたります。アルノルトの父ヴィルヘルム (Wilhelm Mendelssohn, 1821 - 1866) の兄、つまり伯父も同名のアルノルト (Arnold Mendelssohn, 1817 - 1854) なので混同しないようにしないといけませんね。教育者としてはダルムシュタットやフランクフルトで教鞭を執り、パウル・ヒンデミット (Paul Hindemith, 1895 - 1963) を指導したそうです。そのアルノルト作曲の「アルバムの綴り」を演奏してみました。1907年に「新音楽新聞 Neue Musik Zeitung 」に掲載されたもので、20世紀初頭の作品ですが、愛らしい初期ロマン派風の小品です。

2012-01-07

My Videos: Hiller - 投稿動画: ヒラー

Ferdinand Hiller - Kleine Suite, Op. 197; III. Choral
Ferdinand Hiller - Invention No. 4 in B minor, Op. 163/4

昨年2011年はフランツ・リスト生誕200年。コンサートでもオール・リスト・プログラムなんていうのが目に付きました。そのリストの翌々日に生まれたドイツ、フランクフルト出身の作曲家、フェルディナント・ヒラー (Ferdinand Hiller, 1811 - 1885) について今回は書こうと思います。リストと同い年ですから、ヒラーも昨年に生誕200年を迎えていたわけですね。

ヒラーに関する読み物を一つ紹介しましょう。「ベートーヴェンの遺髪」 (Russell Martin 著、高儀 進 訳)。ベートーヴェンの葬式に立ち会った際に少年時代のヒラーが切り取った遺髪。それに関わった人々のドラマを地道な研究に基づいて描いています。伝記のように書かれていて、ベートーヴェンとヒラーの生涯を知るのにもいいですね。メンデルスゾーン、ショパン、シューマン、リスト、ワーグナーなど、同時代に生きたおなじみの作曲家も登場しています。

Ferdinand Hiller - Kleine Suite, Op. 197; III. Choral e-moll

ヒラー生誕200年ということで、昨年は記念に2曲、演奏動画をアップロードしました。誕生日の10月24日、つまりちょうど生誕200年の日に上げたのが、小組曲作品197の第3曲、コラール ホ短調です。この小組曲は前奏曲、ガヴォット、コラール、ジーグの4曲から成っていますが、曲名だけ見るとバロック時代の作曲家が書いた組曲のようですね。コラールは楽譜のページにして1枚。曲としては短いですが、後半で出てくる伴奏のポルタートを電子ピアノで鳴らすのには苦労しました。音が少ない曲はそれはそれで難しいです。

Ferdinand Hiller - Inventionen, 6 zweistimmige Übungsstücke, Op. 163; Nr. 4 h-moll, Tempo di Gavotta

インヴェンション集、6つの二声の練習曲作品163と題されたこの曲集、曲名からして大バッハの2声のインヴェンションを思い起こさせますね。第4曲はガヴォットのテンポで弾くように指示されたロ短調の作品。コラール風の中間部は、スタッカートで通して弾かれる前後の部分との対照もあり、美しさが際立ちます。



2012-01-04

My Videos: Moscheles & Henselt - 投稿動画: モシェレスとヘンゼルト

Ignaz Moscheles - 12 Characteristic Studies, Op. 95 (1836-37); No. 3. in D flat major 'Contradiction' and No. 9. in A flat major 'Moonlight on the Sea-Shore'
Adolf von Henselt - 12 Études de salon, Op. 5 (c. 1838); No. 2. in G major

今回からしばらくロマン派です。まずはロマン派初期の練習曲を3曲。モシェレスとヘンゼルトによる作品です。いずれも1830年代後半に書かれました。ほぼ同時期に書かれた他作曲家の作品として、フレデリック・ショパン (Frédéric Chopin, 1810 - 1849) による12の練習曲作品25 (1832-36) があります。

Ignaz Moscheles - 12 Characteristic Studies, Op. 95 (1836-37); No. 3. in D flat major 'Contradiction' and No. 9. in A flat major 'Moonlight on the Sea-Shore'
ベートーヴェンとショパンの間の世代にあたるチェコの作曲家イグナーツ・モシェレス。彼はいくつか練習曲を書いていますが、作品70の24曲と作品95の12曲が代表作と言っていいでしょう。全音版が出ている作品70は日本でもそれなりに知られていると思います。作品95は「様式とブラヴーラの発展のための性格的練習曲」として出版されています。その中から2曲を動画にしました。

Ignaz Moscheles - Characteristic Studie in D flat major, Op. 95/3 'Contradiction'

原題は 'Widerspruch' 。英語の 'Contradiction' もそうなのですが、「矛盾」あるいは「対立」と訳せます。三連符の分散和音が続く中で「対立」する左手と右手の声部の掛け合いが聴かせどころです。ここでは MIDI ファイルを作成して動画にしています。

Ignaz Moscheles - Characteristic Studie in A flat major, Op. 95/9 'Moonlight on the Sea-Shore'

「海辺にかかる月光」、ポリフォニーの練習曲。いくつかのテーマから選んでそれにちなんだ曲を持ち寄って演奏会をするという集まりに参加したときに、月をテーマにした曲として演奏したのがこの曲です。

Adolf von Henselt - 12 Études de salon, Op. 5 (c. 1838); No. 2. in G major

ショパンと同世代のドイツの作曲家、アドルフ・ヘンゼルト。ショパンと同様に彼もそれぞれ12曲からなる練習曲集を2つ出版しています。作品2と作品5、全24曲で全調を網羅するこの練習曲集の中で特に有名なのは作品2の第6番「もしも私が鳥だったら、あなたの元へ飛んでゆくのに」でしょう。これらの練習曲集の中で私が一番気に入った作品5の第2番を MIDI ファイルにして動画を作成しました。左手のオクターヴの上で上下する右手の分散和音。ショパンの作品10第1番を彷彿とさせます。



2012-01-03

My Videos: Classical Period - 投稿動画: 古典派

Johannes Brahms / Ludwig Stark - Variations on a Theme by Haydn, Op. 56; Theme: St. Anthony Chorale
Georg Christoph Wagenseil - Ricercata f-moll

大バッハに続き2つ目の投稿動画記事、今回は古典派です。ヴァーゲンザイル作曲のリチェルカーレと「聖アントニウスのコラール」として知られるブラームス作曲のハイドン変奏曲の主題、いずれも電子ピアノでの演奏です。

Georg Christoph Wagenseil - Ricercata f-moll

オーストリアの作曲家ゲオルク・クリストフ・ヴァーゲンザイル (Georg Christoph Wagenseil, 1715 - 1777) のリチェルカータ ヘ短調。ヴァーゲンザイルは対位法の大家である宮廷作曲家ヨハン・ヨーゼフ・フックス (Johann Joseph Fux, 1660 - 1741) の弟子であり、自らも宮廷作曲家となりました。古典派初期の作曲家にもかかわらず、この曲では穏やかな曲調の中で大胆な半音階的転調が登場します。ベートーヴェンの月光ソナタ第一楽章を先取りしたような曲です。

Johannes Brahms / Ludwig Stark - St. Anthony Chorale, a theme from Haydn Variations, Op. 56 (arranged for Piano solo)


ヨハネス・ブラームス (1833 - 1897) が1873年に作曲した「ハイドンの主題による変奏曲作品56」。作曲者自身は2台ピアノ版 (作品56b)、管弦楽版 (作品56a) の2つの版を残しています。その主題はヨーゼフ・ハイドン作曲のディヴェルティメントHob.II.46の第2楽章「聖アントニウスのコラール」から採られています。近年の研究ではこのディヴェルティメントがハイドンの真作ではないという説があるということです。この主題のコラールをルートヴィヒ・シュタルク (Ludwig Stark, 1831 - 1884) によるピアノ独奏用編曲で演奏しました。

2012-01-02

My Videos: Arranged Bach - 投稿動画: バッハ作品の編曲

Johann Sebastian Bach (Usually attributed to Christian Petzold) / Edward MacDowell - Menuet in G, BWV Anh. 114 and 115
Johann Sebastian Bach / Joachim Raff - Air arranged for Piano (from Orchestral Suite No. 3 in D major, BWV 1068)

年の変わり目を機に、YouTube に投稿した動画を整理してみることにしました。特に断らない限り、以後「投稿動画」で載せる演奏は私自身によるものです。

年代の古いほうから新しいほうへ。最初はバロックの大作曲家ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (Johann Sebastian Bach, 1685 - 1750) に関連した作品です。

Edward MacDowell - 6 Little Pieces After J. S. Bach; No. 2. Menuet in G (BWV Anh. 114 and 115)

バッハがまとめた「アンナ・マクダレーナ・バッハの音楽帳」として知られる曲集に入っている2つのメヌエット。ト長調のほうは特に有名ですね。近年の研究ではクリスティアン・ペツォールト (Christian Petzold, 1677 - 1733) による作品であると修正されたそうです。米国のピアノ奏者で作曲家でもあったエドワード・マクダウェル (Edward MacDowell, 1860 - 1908) により2曲あわせて1つの華やかなピアノ小品に仕立てられています。

Johann Sebastian Bach / Joachim Raff - Orchestral Suite No. 3 in D major, BWV 1068; II. Air (3 Orchestral Suites by Joh. Seb. Bach: arranged for Piano (1874))

バッハの管弦楽組曲第3番よりアリア。後発のマルトゥッチやジロティによる編曲の陰に隠れてしまっていますが、バッハによる管弦楽作品のピアノ独奏編曲の先駆けとして、もっと評価されるべき作品だと思います。

2012-01-01

Holiday Music - 祝日の音楽

Ferdinand Hiller - Festtage, 6 Klavierstücke, Op. 191
Otto Malling - Die Festtage des Kirchenjahres, Op. 66

元日の今日、ピアニスト Phillip Sear さんがフェルディナント・ヒラーの「元日」という作品を YouTube に投稿しました。

Ferdinand Hiller : Neujahrstag , #1 from Festtage , Op. 191


どうやらこの作品191は曲集になっているようなので、ほかにどんな曲があるのか調べてみました。

Ferdinand Hiller (1811 - 1885) - Festtage, 6 Klavierstücke, Op. 191
  1. Neujahrstag (Allegro giocoso)
  2. Karfreitag (Moderato. Grave)
  3. Ostern (Moderato. Serioso)
  4. Geburts- oder Namenstag (Tempo di Menuetto)
  5. Pfingsten (Allegro con fuoco)
  6. Christnacht (Allegro pastorale)
ドイツの作曲家、フェルディナント・ヒラー作曲の「祝日」6つのピアノ小品、作品191。元日、聖金曜日、イースター、誕生日または霊名日、ペンテコステ、クリスマス・イヴからなる小品集。ヒラー家はユダヤ系でしたが、フェルディナントの代にはキリスト教になっていたということです。この作品もキリスト教と関わりが深いですね。

Otto Malling (1848 - 1915) - Die Festtage des Kirchenjahres, Op. 66 (1897)
  1. Juleaften (Weihnachtsabend)
  2. Første Juledag (Erster Weihnachtstag)
  3. Anden Juledag (Zweiter Weihnachtstag)
  4. Nytaarsdag (Neujahrstag)
  5. Skærtorsdag (Gruen Donnerstag)
  6. Langfredag (Karfreitag)
  7. Første Paaskedag (Erster Ostertag)
  8. Anden Paaskedag (Zweiter Ostertag)
  9. Store Bededag (Buß- und Bettag)
  10. Christi Himmelfartsdag (Christi Himmelfahrtstag)
  11. Første Pintsedag (Erster Pfingsttag)
  12. Anden Pintsedag (Zweiter Pfingsttag)
デンマークの作曲家、オット・マリング作曲のオルガン曲「教会暦の祝日」作品66。クリスマス、元日、聖木曜日、聖金曜日、イースター、祈りの日、キリスト昇天日、ペンテコステに関する12の曲で構成されています。「祈りの日」 (Store Bededag) はキリスト教の中でもデンマーク、ドイツ、スイスなどで祝われる日のようですね。