Adolf von Henselt - 12 Études de salon, Op. 5 (c. 1838); No. 2. in G major
今回からしばらくロマン派です。まずはロマン派初期の練習曲を3曲。モシェレスとヘンゼルトによる作品です。いずれも1830年代後半に書かれました。ほぼ同時期に書かれた他作曲家の作品として、フレデリック・ショパン (Frédéric Chopin, 1810 - 1849) による12の練習曲作品25 (1832-36) があります。
Ignaz Moscheles - 12 Characteristic Studies, Op. 95 (1836-37); No. 3. in D flat major 'Contradiction' and No. 9. in A flat major 'Moonlight on the Sea-Shore'
ベートーヴェンとショパンの間の世代にあたるチェコの作曲家イグナーツ・モシェレス。彼はいくつか練習曲を書いていますが、作品70の24曲と作品95の12曲が代表作と言っていいでしょう。全音版が出ている作品70は日本でもそれなりに知られていると思います。作品95は「様式とブラヴーラの発展のための性格的練習曲」として出版されています。その中から2曲を動画にしました。
Ignaz Moscheles - Characteristic Studie in D flat major, Op. 95/3 'Contradiction'
原題は 'Widerspruch' 。英語の 'Contradiction' もそうなのですが、「矛盾」あるいは「対立」と訳せます。三連符の分散和音が続く中で「対立」する左手と右手の声部の掛け合いが聴かせどころです。ここでは MIDI ファイルを作成して動画にしています。
Ignaz Moscheles - Characteristic Studie in A flat major, Op. 95/9 'Moonlight on the Sea-Shore'
「海辺にかかる月光」、ポリフォニーの練習曲。いくつかのテーマから選んでそれにちなんだ曲を持ち寄って演奏会をするという集まりに参加したときに、月をテーマにした曲として演奏したのがこの曲です。
Adolf von Henselt - 12 Études de salon, Op. 5 (c. 1838); No. 2. in G major
ショパンと同世代のドイツの作曲家、アドルフ・ヘンゼルト。ショパンと同様に彼もそれぞれ12曲からなる練習曲集を2つ出版しています。作品2と作品5、全24曲で全調を網羅するこの練習曲集の中で特に有名なのは作品2の第6番「もしも私が鳥だったら、あなたの元へ飛んでゆくのに」でしょう。これらの練習曲集の中で私が一番気に入った作品5の第2番を MIDI ファイルにして動画を作成しました。左手のオクターヴの上で上下する右手の分散和音。ショパンの作品10第1番を彷彿とさせます。
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