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2015-02-21

Pasticcio Variations on "Schöne Minka" by Leidesdorf, Hummel, Mayseder, Czerny and Ries

Wiener Musikalisches Pfennig-Magazin für das Pianoforte allein, redigirt von Carl Czerny, 1ster Jahrgang, Nr. 41 (1834)
Nr. 107. Beliebtes russisches Lied [Schöne Minka] mit Variationen von Leidesdorf, Hummel, Mayseder, C. Czerny und Ries.

週刊の楽譜冊子 Wiener Musikalisches Pfennig-Magazin für das Pianoforte allein 第1年次第41号第107曲として出版された「愛好されたロシア歌曲とライデスドルフ、フンメル、マイゼーダー、C.チェルニー、リースによる変奏曲」という合作変奏曲を紹介します。合作変奏曲とはいっても、フェルディナント・リース以外の4名が参加した「愛国芸術家協会 Vaterländischer Künstlerverein (ディアベッリのワルツによる50の変奏曲)」のように各者が委嘱によってこの作品のために変奏を書いたわけではなく、既存の変奏曲からの抜粋を編集者カール・チェルニーの手によって一つの変奏曲にまとめ上げられたもののようです。

モーツァルトは異なる作曲家によるソナタの楽章などを一つの協奏曲にまとめたものを7曲残し、それらはパスティッチョ・コンチェルト (Pasticcio concerto) として知られています。また、ヨハン・バプティスト・クラーマーの例で言えば自作のピアノ協奏曲第5番ハ短調 Op.48 の第1、第2楽章とモーツァルトのピアノ協奏曲第24番ハ短調 K.491 の第3楽章を組み合わせて演奏するということもあったようです (小岩信治「ピアノ協奏曲の誕生」、春秋社)。次回の「『国王陛下万歳』変奏曲」と同様に、この作品もパスティッチョ変奏曲と呼べるものでしょう。

Theme

Theme [Schöne Minka ; Їхав козак за Дунай ; Ехал козак за Дунай]: Allegretto (A minor)

主題はウクライナ民謡「コサックはドナウを越えて」(Їхав козак за Дунай ; Ехал козак за Дунай)。当時のドイツ・オーストリアでは「美しいミンカ」(Schöne Minka) の題で知られていました。

Var. 1: Leidesdorf

Var.1: Vivace (A minor) by Maximilian Josef Leidesdorf (1787-1840)
[Variations sur l'Air: Schöne Minka]?

マクシミリアン・ヨーゼフ・ライデスドルフはオーストリアの作曲家・音楽出版業者で、1834年当時はイタリアのフィレンツェを拠点に活動していました。ライデスドルフの作品に「歌曲『美しいミンカ』による変奏曲」がありますが、その中の変奏ではないかと考えます。

Var. 2: Hummel

Var. 2: Tutto legato (A minor) by Johann Nepomuk Hummel (1778-1837)
Piano Part of the Variation 1 from Adagio, Variations et Rondo sur un thème russe pour piano, flute et violoncelle, in A minor, Op. 78 (ca. 1818)

ヨハン・ネポムク・フンメルはプレスブルク (ブラチスラヴァ) 出身の作曲家・ピアノ奏者で、1834年当時はヴァイマルで音楽監督をしていました。フンメル作曲「ピアノとフルートとチェロのためのロシアの主題によるアダージョ、変奏曲とロンド イ短調 Op.78」第1変奏ピアノパートが基になっています。

Var. 3: Mayseder

Var. 3: Vivo e brillante (A minor) by Joseph Mayseder (1789-1863)
[Variationen über ein russisches Lied "Schöne Minka, ich muß scheiden", in E minor, Op. 1]?

ヴァイオリン奏者でもあったヨーゼフ・マイゼーダーは管弦楽曲や弦楽器のための室内楽曲を主に残しています。マイゼーダー作曲「ロシア歌曲『美しいミンカよ、別れねばならぬ』による変奏曲 ホ短調 Op.1」(ヴァイオリンを含む数種の編成による) の変奏を編曲したものではないかと考えます。

Var. 4: C. Czerny

Var. 4: Legato cantabile (A major) by Carl Czerny (1791-1857)

主題と他の変奏はイ短調ですが、このカール・チェルニーによる変奏だけはイ長調で書かれています。

Var. 5: Ries

Var. 5: Vivo e brillante (A minor) by Ferdinand Ries (1784-1838)
Variation 8 from 9 Variationen über ein russisches Lied, Op. 33 No. 2 (1809)

ベートーヴェンの下でのチェルニーの兄弟弟子にあたるフェルディナント・リースによる変奏をフィナーレにあてています。出版時のリースの動向はというと、フランクフルト・アム・マインからアーヘンに拠点を移し、同地で開催された1834年のニーダーライン音楽祭で音楽監督を務めています。リース作曲「ロシア歌曲による9つの変奏曲 Op.33/2」の変奏ではないかと考えます。

[追記 2019-02-22] 確認できた楽譜によると、リース作曲「ロシア歌曲による9つの変奏曲 Op.33/2」第8変奏が基になっています。原曲の変奏には発想記号はありません。

2014-12-23

Carl Czerny - Grandes études de salon, Op. 756, etc.

今年の9月と12月に撮ったチェルニーの作品の演奏動画を紹介します。

L'art de préluder (Die Kunst des Präludierens ; The Art of Preluding), Op. 300; No. 109. Choral in E major. Andante

「120の実例による前奏の技法、あらゆるジャンルの前奏曲と転調とカデンツァと幻想曲 Op. 300」より第109曲「コラール ホ長調」。題名にあるとおり、様々な様式の小品を集めた曲集の中の一曲です。急速なテンポのメカニカルな練習曲ばかりが目立つチェルニーですが、こういった作品があることも知られて欲しいですね。

25 Grandes études de salon, Op. 756; No. 16. Allegretto serioso in B minor

「25のサロン用大練習曲 Op. 756」より第16番「アレグレット・セリオーソ ロ短調」。付点のリズムが特徴的な作品です。テンポはそれほど速くありませんが、中盤でのポジション移動に苦労する練習曲でした。チェルニーの練習曲の中からおすすめを一曲選ぶとすればこれ、というくらいお気に入りの曲です。

Nouveau Gradus ad Parnassum, Op. 822; No. 31. Prélude et Fugue in G minor

「新グラドゥス・アド・パルナッスム Op. 822」より第31曲「前奏曲とフーガ ト短調」。把握しているチェルニーの「前奏曲とフーガ」の中で、前回弾いた Op. 822/7 と並んで最も小規模なものです。付点のリズムが特徴的な前奏曲に続き、十字架音型で始まる主題の荘厳なフーガが続きます。

チェルニーのピアノ曲といえば、先月開催されたピティナ・ピアノ曲事典公開録音コンサート 色とりどりの練習曲-新しいチェルニーの世界の演奏動画が公開されましたね。演奏会を企画した上田泰史さんによる「チェルニー30番」再考の連載もおすすめです。

2014-03-30

Carl Czerny - Nouveau Gradus ad Parnassum, Op. 822

Carl Czerny (1791-1857) - Nouveau Gradus ad Parnassum, Op. 822 (1853/1854); No. 7. Prelude and Fugue in G minor

カール・チェルニー作曲の新グラドゥス・アド・パルナッスム Op. 822 より第7曲「前奏曲とフーガ ト短調」を弾きました。チェルニーのフーガというと神谷郁代の演奏による Der Pianist im klassischen Style, 48 Präludien und Fugen, Op. 856 (古典様式によるピアニスト, 48の前奏曲とフーガ) が話題になりましたが、そのほかにもチェルニーには12組の前奏曲とフーガからなる Schule des Fugenspiels, Op. 400 (フーガ演奏教本) を初めとして、種々のフーガ作品があります。新グラドゥス・アド・パルナッスムは4巻46曲からなる曲集で、そのうちの26曲は「前奏曲とフーガ」の形式となっています。