2012-10-31

Georgy Conus - Chanson triste, Op. 18/2

Georgy Eduardovich Konyus (Георгий Эдуардович Конюс, Russia, 1862 - 1933) - 3 Miniatures, Op. 18 (ca. 1902); No. 2. Chanson triste (Sad Song) in D minor.

ゲオルギー・コニュス生誕150年ということで、彼の「3つのミニアチュール」作品18から第2曲「悲歌」を弾きました。ついでにこの作曲家と音楽一族コニュス家について調べたことを以下にまとめます。録音こそ少ないですが、スクリャービンやグリエールに影響を与えたという彼の作品はなかなか興味深いですね。

コニュス家は音楽家の家系で、著名な音楽家を多数輩出している。ゲオルギーの祖父コンスタンタン・レオポール・コニュス (Consttantin Léopold Conus; Константин Леопольд Конюс) はフランス・ロレーヌ地方からの移民。コンスタンタンの息子エドゥアルト (Эдуард; Édouard エドゥアール, 1827 - 1902) はドイツ系コミュニティのあったサラトフに生まれ、ピアノ奏者として活動していたが、1867年からはモスクワのエカチェリーナ女子大学 (Екатерининский женский институт) で音楽教師としてピアノを教えていた。エドゥアルドの3人の息子ゲオルギー、ユーリー、レフも音楽家であり、ユーリー (Юлий; Jules ジュール; Julien ジュリアン, 1869 - 1942) はヴァイオリン奏者、レフ (Лев; Leo レオ, 1871 - 1944) はピアノ奏者となった。ゲオルギー (Георгий; Georges ジョルジュ, 1862 - 1033) はモスクワ音楽院のアントン・アレンスキーのクラスに在籍し、セルゲイ・タニェエフに音楽理論を、パーヴェル・パブストにピアノを師事。作曲家・音楽理論家として弟子のアレクサンドル・スクリャービンやレインゴリト・グリエールらに影響を与えた。娘のナターリヤ (Наталья, 1914 - 1989) はバレリーナ・振付師となった。

Franz Liszt / Conrad Ansorge - Es muss ein Wunderbares sein, S.314 (arr. for Piano)

Franz Liszt (1811-1886) - Es muss ein Wunderbares sein, S.314 (1852). Transcription for Piano by Conrad Ansorge (1862-1930). コンラート・アンゾルゲ生誕150年、ということで彼の編曲作品を一つ弾きました。彼の師にあたるフランツ・リストの歌曲「それはきっと素晴らしいこと」 (Es muss ein Wunderbares sein, S.314) のアンゾルゲによるピアノ独奏編曲です。

2012-10-28

Edgar Tinel - Ave Maria, Op. 14/4

Edgar Tinel (Belgium, 1854 - 1912) - 'Au Printemps' 5 Morceaux de fantaisie, Op. 14; No. 4. Ave Maria.

今日はベルギー・フランドルのピアノ奏者、作曲家であるエドハル・ティネル (Edgar Tinel, 1854.3.27-1912.10.28) の没後100年の命日です。5つの幻想的小品集「春に」作品14の第4曲「アヴェ・マリア」の演奏動画を、今年の春に投稿していたので貼っておきます。 IMSLP にあるピアノ曲集の楽譜を見る限り、面白そうな曲もいくつかあるのですが、演奏の機会には恵まれていないようです。

2012-09-24

Camille Saint-Saëns - Élégie, Op. 160 (Piano Transcription by the Author)

Camille Saint-Saëns - Élégie for Violin and Piano No. 2 in F major, Op. 160 (1920). Transcription for Piano by the Author.

今回はカミーユ・サン=サーンス (1835-1921) の作品を弾きました。ヴァイオリンとピアノのためのエレジー第2番作品160の作曲者自身によるピアノ独奏編曲です。サン=サーンスといえばフランスを代表する作曲家として知られていますが、同時に卓越したピアノ、オルガン奏者でもありました。自作の管弦楽曲、室内楽曲などのピアノ用編曲をいくつか残していますが、そういったものは「サン=サーンス・ピアノ曲全集」といったものからは取りこぼされがちのようです。

この曲はサン=サーンスの友人であった Charles de Galland (1851-1923) に献呈されています。Galland は1910年から1919年までアルジェ市長を務めた政治家でしたが、優れたヴァイオリン奏者でもあったそうです。楽譜には曲を献呈された Galland の名のほかに、 "En souvenir d'Alexis de Castillon" (アレクシス・ド・カスティヨンの思い出に) とも書かれています。アレクシス・ド・カスティヨン (1838-1873) もまたフランスの作曲家であり、サン=サーンスらとともに国民音楽協会 (Société Nationale de Musique) を設立しました。生年は3歳違いですが、サン=サーンスが86の長寿だったのに対し、もともと病弱だったカスティヨンは国民音楽協会設立の2年後、34歳で夭逝しました。85歳のサン=サーンスが47年前に亡くなったカスティヨンを思ってこのエレジーを作曲したわけです。題名はエレジー(悲歌、哀歌)ですが、深く悲しむというより穏やかな幸せを歌っているように感じます。カスティヨンの早すぎる死から約半世紀、サン=サーンスはその友人との楽しい記憶を思い出しながら作曲したのでしょうか。

2012-07-29

Sigismund Blumenfeld - Une pensée à Schumann, Op. 5/2

Sigismund Blumenfeld - 6 Brimborions, Op. 5; No. 2. Une pensée à Schumann

フェリクス・ブルメンフェリト (Felix Blumenfeld, 1863-1931) という作曲家、私もこれまでに彼の曲をいくつか弾いていますが、 IMSLP で彼の兄、シギズムント (Sigismund Blumenfeld, 1852-1920) の作品を見つけたので興味を持って目を通してみました。その中に「シューマンへの思い (Une pensée à Schumann)」という半ページほどの小品があり、ちょうど今日はロベルト・シューマンの命日ということでこの曲を弾いてみました。ピアノ小品集 6 Brimborions, Op. 5 の第2曲。 Brimborion とはフランス語で「つまらないもの」といった意味のようで、よくある曲名でいうと似た意味の「バガテル」に近いものなんでしょうか。シギズムントはピアノ奏者であると同時に歌手でもあったそうです。そういうこともあって、ピアノ曲、歌曲に名作をたくさん残したシューマンには特別な思いがあったのかもしれません。

2012-07-21

Ernst Pauer - Beethoven Studies

Ernst Pauer (Austria, 1826-1905) - 50 Beethoven Studies
オーストリアの作曲家、エルンスト・パウアー (Ernst Pauer, 1826-1905) のベートーヴェン練習曲 (50 Special and Preparatory Studies for the pianoforte intended as an assistance to a thoroughly artistic performance of Beethoven's Sonatas) から4曲弾きました。この練習曲集はベートーヴェンのピアノソナタのうち24曲をもとにして、50曲の練習曲としてまとめたものです。今回弾いたのはソナタ第1番と第8番「悲愴」にあたるものです。

Nos. 1 & 2 (Sonata No. 1 in F minor, Op. 2, No. 1)
Nos. 18 & 19 (Sonata (Pathétique) No. 8 in C minor, Op. 13)

2012-06-08

Emanuel de Beaupuis - Genre Schumann

Emanuel de Beaupuis (Italy, ca.1860 - 1913) - Romance in F sharp major (Genre Schumann)

今日はローベルト・シューマンの誕生日、ということで彼にちなんだ曲、イタリアの作曲家・ピアノ奏者のエマニュエル・ド・ボーピュイ作曲「ロマンス 嬰ヘ長調 (シューマン様式)」を弾きました。

ナポリに生まれたエマニュエル・ド・ボーピュイは、ナポリ王立音楽院でベニアミーノ・チェージ (Beniamino Cesi, 1845 - 1907) に師事しました。1889年にオーストラリアに移住し、メルボルンやシドニーでピアノと音楽理論の教師となりました。著名な弟子としてオーストラリアの作曲家・ピアノ奏者のロイ・アグニュー (Roy Agnew, 1891 - 1944) がいます。

出典: De Beaupuis, E. (Emmanuele) | Trove | National Library of Australia (オーストラリア国立図書館)

(改稿 2019-01-05)

2012-05-27

J. S. Bach / Joachim Raff - Andante, BWV 1003/III

Johann Sebastian Bach (1685-1750) / Joseph Joachim Raff (1822–1882) - Violin Sonata No. 2 in A minor, BWV 1003; III. Andante in C major
(Selected Pieces from the Violin Sonatas of Joh. Seb. Bach: arranged for Piano (1865), WoO. 23) 今日はヨアヒム・ラフの誕生日ということで、大バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番 BWV 1003 より第3楽章のアンダンテを弾いてみました。

2012-05-15

Ferdinand Beyer - Le rossignol de Alabieff, Op. 103/5

Ferdinand Beyer - Bluettes du nord, Amusements sur des Airs russes favoris, Op. 103; No. 5. Соловей. Le rossignol de Alabieff.

5月14日はピアノの教則本で知られるドイツの作曲家、フェルディナント・バイエル (Ferdinand Beyer, 1803-1863) の命日ということで、彼の編曲によるアレクサンドル・アリャビエフ (Aleksandr Alyabyev, Александр Алябьев, 1787-1851) のナイチンゲール (夜鳴きうぐいす)を弾いてみました。ロシアの歌曲の編曲集「北国の小品」 (Bluettes du nord, Op. 103) の一曲です。

2012-05-02

Jürg Hanselmann Piano Recital Video


Date:  2012-04-28
Location: The Kennedy Center, Washington, D. C.

The celebrated Liechtenstein pianist concludes his national tour with a program of works by Liechtenstein composer Josef Rheinberger and Beethoven, as well as Hanselmann’s own original work. Presented in cooperation with the Embassy of Liechtenstein.
Performance Video

4月28日に米国ワシントンDCのジョン・F・ケネディ・センターで行われたユルク・ハンゼルマン (Jürg Hanselmann) ピアノリサイタルの動画が配信されているのでリンクを貼っておきます。ラインベルガーのピアノ曲がリサイタルで演奏されるのは珍しいですね。ハンゼルマンはラインベルガーのピアノ曲全集のCD (全10枚) を出していて、 YouTube (mikado568) でも演奏動画を公開しています。鉄オタクラシック - ピアノ曲編で知っているかたもいるかもしれませんね。

Josef Rheinberger ヨーゼフ・ラインベルガー (1839-1901):
05:20 - Zwölf Vortragsstudien, Op. 183; Nr. 1 Präludium
------- 12の演奏会用練習曲 作品183 より 第1番 前奏曲
07:55 - Drei kleine Konzertstücke, Op. 5; Nr. 1 Die Jagd. Impromptu.
------- 3つの演奏会用小品 作品5 より 第1番 狩り. 即興曲.
10:30 - Drei Studien, Op. 6; Nr. 3 Impromptu.
------- 3つの練習曲 作品6 より 第3番 即興曲.

Ludwig van Beethoven
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン (1770-1828):
13:15 - Klaviersonate Nr. 21 C-dur, Op. 53 (Waldstein).
------- ピアノソナタ第21番 ハ長調 作品53 「ヴァルトシュタイン」.

Jürg Hanselmann ユルク・ハンゼルマン (born in 1960):
・ Abendstern - Vier Stücke für Klavier (2011).
-- 宵の明星 - ピアノのための4つの小品 (2011).
37:00 - I. Leuchtender Abendstern (輝ける宵の明星).
39:13 - II. Traumgesicht (夢想).
41:35 - III. Unsterblich! (不滅 !).
44:25 - IV. Zum Abschied (別れに).