2012-09-24

Camille Saint-Saëns - Élégie, Op. 160 (Piano Transcription by the Author)

Camille Saint-Saëns - Élégie for Violin and Piano No. 2 in F major, Op. 160 (1920). Transcription for Piano by the Author.

今回はカミーユ・サン=サーンス (1835-1921) の作品を弾きました。ヴァイオリンとピアノのためのエレジー第2番作品160の作曲者自身によるピアノ独奏編曲です。サン=サーンスといえばフランスを代表する作曲家として知られていますが、同時に卓越したピアノ、オルガン奏者でもありました。自作の管弦楽曲、室内楽曲などのピアノ用編曲をいくつか残していますが、そういったものは「サン=サーンス・ピアノ曲全集」といったものからは取りこぼされがちのようです。

この曲はサン=サーンスの友人であった Charles de Galland (1851-1923) に献呈されています。Galland は1910年から1919年までアルジェ市長を務めた政治家でしたが、優れたヴァイオリン奏者でもあったそうです。楽譜には曲を献呈された Galland の名のほかに、 "En souvenir d'Alexis de Castillon" (アレクシス・ド・カスティヨンの思い出に) とも書かれています。アレクシス・ド・カスティヨン (1838-1873) もまたフランスの作曲家であり、サン=サーンスらとともに国民音楽協会 (Société Nationale de Musique) を設立しました。生年は3歳違いですが、サン=サーンスが86の長寿だったのに対し、もともと病弱だったカスティヨンは国民音楽協会設立の2年後、34歳で夭逝しました。85歳のサン=サーンスが47年前に亡くなったカスティヨンを思ってこのエレジーを作曲したわけです。題名はエレジー(悲歌、哀歌)ですが、深く悲しむというより穏やかな幸せを歌っているように感じます。カスティヨンの早すぎる死から約半世紀、サン=サーンスはその友人との楽しい記憶を思い出しながら作曲したのでしょうか。

2012-07-29

Sigismund Blumenfeld - Une pensée à Schumann, Op. 5/2

Sigismund Blumenfeld - 6 Brimborions, Op. 5; No. 2. Une pensée à Schumann

フェリクス・ブルメンフェリト (Felix Blumenfeld, 1863-1931) という作曲家、私もこれまでに彼の曲をいくつか弾いていますが、 IMSLP で彼の兄、シギズムント (Sigismund Blumenfeld, 1852-1920) の作品を見つけたので興味を持って目を通してみました。その中に「シューマンへの思い (Une pensée à Schumann)」という半ページほどの小品があり、ちょうど今日はロベルト・シューマンの命日ということでこの曲を弾いてみました。ピアノ小品集 6 Brimborions, Op. 5 の第2曲。 Brimborion とはフランス語で「つまらないもの」といった意味のようで、よくある曲名でいうと似た意味の「バガテル」に近いものなんでしょうか。シギズムントはピアノ奏者であると同時に歌手でもあったそうです。そういうこともあって、ピアノ曲、歌曲に名作をたくさん残したシューマンには特別な思いがあったのかもしれません。

2012-07-21

Ernst Pauer - Beethoven Studies

Ernst Pauer (Austria, 1826-1905) - 50 Beethoven Studies
オーストリアの作曲家、エルンスト・パウアー (Ernst Pauer, 1826-1905) のベートーヴェン練習曲 (50 Special and Preparatory Studies for the pianoforte intended as an assistance to a thoroughly artistic performance of Beethoven's Sonatas) から4曲弾きました。この練習曲集はベートーヴェンのピアノソナタのうち24曲をもとにして、50曲の練習曲としてまとめたものです。今回弾いたのはソナタ第1番と第8番「悲愴」にあたるものです。

Nos. 1 & 2 (Sonata No. 1 in F minor, Op. 2, No. 1)
Nos. 18 & 19 (Sonata (Pathétique) No. 8 in C minor, Op. 13)

2012-06-08

Emanuel de Beaupuis - Genre Schumann

Emanuel de Beaupuis (Italy, ca.1860 - 1913) - Romance in F sharp major (Genre Schumann)

今日はローベルト・シューマンの誕生日、ということで彼にちなんだ曲、イタリアの作曲家・ピアノ奏者のエマニュエル・ド・ボーピュイ作曲「ロマンス 嬰ヘ長調 (シューマン様式)」を弾きました。

ナポリに生まれたエマニュエル・ド・ボーピュイは、ナポリ王立音楽院でベニアミーノ・チェージ (Beniamino Cesi, 1845 - 1907) に師事しました。1889年にオーストラリアに移住し、メルボルンやシドニーでピアノと音楽理論の教師となりました。著名な弟子としてオーストラリアの作曲家・ピアノ奏者のロイ・アグニュー (Roy Agnew, 1891 - 1944) がいます。

出典: De Beaupuis, E. (Emmanuele) | Trove | National Library of Australia (オーストラリア国立図書館)

(改稿 2019-01-05)

2012-05-27

J. S. Bach / Joachim Raff - Andante, BWV 1003/III

Johann Sebastian Bach (1685-1750) / Joseph Joachim Raff (1822–1882) - Violin Sonata No. 2 in A minor, BWV 1003; III. Andante in C major
(Selected Pieces from the Violin Sonatas of Joh. Seb. Bach: arranged for Piano (1865), WoO. 23) 今日はヨアヒム・ラフの誕生日ということで、大バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番 BWV 1003 より第3楽章のアンダンテを弾いてみました。

2012-05-15

Ferdinand Beyer - Le rossignol de Alabieff, Op. 103/5

Ferdinand Beyer - Bluettes du nord, Amusements sur des Airs russes favoris, Op. 103; No. 5. Соловей. Le rossignol de Alabieff.

5月14日はピアノの教則本で知られるドイツの作曲家、フェルディナント・バイエル (Ferdinand Beyer, 1803-1863) の命日ということで、彼の編曲によるアレクサンドル・アリャビエフ (Aleksandr Alyabyev, Александр Алябьев, 1787-1851) のナイチンゲール (夜鳴きうぐいす)を弾いてみました。ロシアの歌曲の編曲集「北国の小品」 (Bluettes du nord, Op. 103) の一曲です。

2012-05-02

Jürg Hanselmann Piano Recital Video


Date:  2012-04-28
Location: The Kennedy Center, Washington, D. C.

The celebrated Liechtenstein pianist concludes his national tour with a program of works by Liechtenstein composer Josef Rheinberger and Beethoven, as well as Hanselmann’s own original work. Presented in cooperation with the Embassy of Liechtenstein.
Performance Video

4月28日に米国ワシントンDCのジョン・F・ケネディ・センターで行われたユルク・ハンゼルマン (Jürg Hanselmann) ピアノリサイタルの動画が配信されているのでリンクを貼っておきます。ラインベルガーのピアノ曲がリサイタルで演奏されるのは珍しいですね。ハンゼルマンはラインベルガーのピアノ曲全集のCD (全10枚) を出していて、 YouTube (mikado568) でも演奏動画を公開しています。鉄オタクラシック - ピアノ曲編で知っているかたもいるかもしれませんね。

Josef Rheinberger ヨーゼフ・ラインベルガー (1839-1901):
05:20 - Zwölf Vortragsstudien, Op. 183; Nr. 1 Präludium
------- 12の演奏会用練習曲 作品183 より 第1番 前奏曲
07:55 - Drei kleine Konzertstücke, Op. 5; Nr. 1 Die Jagd. Impromptu.
------- 3つの演奏会用小品 作品5 より 第1番 狩り. 即興曲.
10:30 - Drei Studien, Op. 6; Nr. 3 Impromptu.
------- 3つの練習曲 作品6 より 第3番 即興曲.

Ludwig van Beethoven
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン (1770-1828):
13:15 - Klaviersonate Nr. 21 C-dur, Op. 53 (Waldstein).
------- ピアノソナタ第21番 ハ長調 作品53 「ヴァルトシュタイン」.

Jürg Hanselmann ユルク・ハンゼルマン (born in 1960):
・ Abendstern - Vier Stücke für Klavier (2011).
-- 宵の明星 - ピアノのための4つの小品 (2011).
37:00 - I. Leuchtender Abendstern (輝ける宵の明星).
39:13 - II. Traumgesicht (夢想).
41:35 - III. Unsterblich! (不滅 !).
44:25 - IV. Zum Abschied (別れに).







2012-04-13

William Sterndale Bennett - L'Appassionata, Op. 29/2

William Sterndale Bennett (England, 1816 - 1875) - 2 Études caractéristiques, Op. 29 (1841); No. 2 in G minor ‘L'Appassionata’


今日はイギリス・ロマン派初期の作曲家ウィリアム・スターンデイル・ベネット (William Sterndale Bennett, 1816年4月13日 - 1875年2月1日) の誕生日ということで、彼の2つの性格的練習曲作品29から第2番の「熱情」を弾いてみました。ベネットはたびたびドイツを訪れ、メンデルスゾーンやシューマンと交流していたということもあって、彼らの作風に近いところがありますね。



2012-04-05

Adolf Jensen - 投稿動画: イェンゼン

Adolf Jensen - Piano Sonata in F sharp minor Op. 25; Mov. 4
Adolf Jensen - Träumerei, Op. 8/7

今回紹介するのはブラームスと同世代で友人でもあったドイツの作曲家、アドルフ・イェンゼン (Adolf Jensen, 1837 - 1879) のピアノ曲。ソナタの終楽章とトロイメライです。

Adolf Jensen - Piano Sonata in F sharp minor, Op. 25 (1864); Mov. 4

ピアノ作品では主に小品が知られるイェンゼンですが、4楽章構成の大規模なピアノソナタを一曲書いています。作曲者27歳のとき、4歳年長のヨハネス・ブラームス (Johannes Brahms, 1833-1897) に献呈されています。この曲の楽譜を入手したいと思って楽譜輸入代行業者に注文したのに待てど暮らせど発送されず、ふとインターネットで検索したところ、以前はなかったはずの楽譜のPDFファイルがあっさり手に入ったということがありました。このときはインターネットの発展に驚かされましたね。動画の背景にはイェンゼンにゆかりの土地、ケーニヒスベルクポーゼンコペンハーゲンベルリンドレスデンバーデン・バーデンの画像を使ってみました。

ケーニヒスベルク(カリーニングラード)
Königsberg Castle (between 1890 and 1900)
Schlossteich Königsberg (1912)
Schlossteich in Königsberg, alte Postkarte (1912)

ポーゼン(ポズナン)
Julius von Minutoli: Coloured lithograph of the Poznań (1833)
Poznań viewd from right bank of Warta (1833)

コペンハーゲン
Kopenhagen (ca. 1890-1900)
View from Løngangsstræde in Copenhagen (ca. 1860)
The courtyard of the residential college Regensen (Collegium regium) of the University of Copenhagen in Copenhagen (ca. 1840)

ベルリン
Berlin, Friedrichswerdersche Kirche (1850)

ドレスデン
Dresden’s old Synagogue by Gottfried Semper (“Semper Synagogue”) (1860)
Brühl'sche Terrasse (ca. 1855)
Johann Bernhard Schmelzer : Zschachwitz (1870)

バーデン・バーデン
Baden-Baden (1890-1905)

Adolf Jensen - Romantische Studien, Op. 8 (1862); No. 7 Träumerei

作品8は2巻全17曲からなるロマンティックな練習曲。第1巻は8曲からなり、その第7曲がトロイメライです。楽譜にはフリードリヒ・ルペルティ (Friedrich Ruperti, 1805-1867) の詩「高らかにハープの音がひびく」 (Es tönt ein voller Harfenklang) からの一聯が添えられています。ハープをかき鳴らすような分散和音が印象的な曲です。ブラームスはルペルティのこの詩をもとに4つの歌作品17の第1曲を書いています。

Es tönt ein voller Harfenklang,
Den Lieb' und Sehnsucht schwellen.
Es dringt zum Herzen tief und bang
Und läßt das Auge quellen.

Friedrich Ruperti



2012-04-04

Hans Huber - Jugendalbum

Hans Huber - Jugendalbum Nos. 9-11; Walzer, Variationen (Twinkle Twinkle Little Star) & Träumerei

スイスの作曲家、ハンス・フーバー (Hans Huber, 1852 - 1921) の16曲からなる小品集、 Jugendalbum (子供のアルバム) から3曲弾いてみました。第9曲ワルツ、第10曲変奏曲、第11曲トロイメライ。変奏曲は「きらきら星」として知られる旋律を主題としています。個々の曲名からしてもシューマンの影響を感じますね。

Hans Huber - Jugendalbum
Nr. 9. Walzer Es-dur


Nr. 10. Variationen G-dur


Nr. 11. Träumerei B-dur