Vladimir Yevgenyevich Artynov (Владимир Евгеньевич Артынов) - 4 Élégies, Op. 3; No. 4. Le jour. Moderato (F minor)
ヴラディーミル・エヴゲーニエヴィチ・アルティーノフ作曲「4つの悲歌 Op. 3」より第4番「昼 ヘ短調」を弾きました。ユルゲンソンのプレート番号 (37465-37468) からすると、1914年頃に出版された楽譜のようです。
モスクワのロシア国立図書館には、独唱とピアノのための2つの歌曲集 (中声のための3つのロマンス Op. 1, 4つの詩 Op. 2) が所蔵されています。 この悲歌集は Op. 3 ですから、作品番号の付いた彼のピアノ曲としては最初に出版された曲集ということになるでしょう。
この曲集の各曲にはそれぞれ一日のうちの時間帯を示す言葉が副題として付けられていて、「夕べ Вечер ; Le soir」「夜 Ночь ; Le nuit」「朝 Утро ; La matin」「昼 День ; Le jour」と順に並んでいます。また、各曲はそれぞれセルゲイ・タネーエフ (Sergey Taneyev, 1856 - 1915)、ニコライ・ジリャーエフ (Nikolay Zhilyayev, 1881 - 1938)、アレクサンドル・グレチャニノフ (Aleksandr Grechaninov, 1864 - 1956)、コンスタンチン・イグームノフ (Konstantin Igumnov, 1873 - 1948) に献呈されています。タネーエフとそのモスクワ音楽院での教え子たちですね。
題辞として各曲に副題にちなんだ詩が楽譜に書かれていました。第4番「昼」のものは以下に示すとおりです。
Ярко светит солнце. Всюду жизнь и все цветет...
Но я один... Душа тоскует. Эта окружающая радость Дня только усиливает мою грусть... Я не верю Солнцу...
Мне грустно... Я один...
ヴラディーミル・アルティーノフの経歴については断片的な情報しか見つかりませんでした。1907年から1908年までセルゲイ・タネーエフから対位法の個人レッスンを受けていたこと (Сергей Иванович Танеев - Sergey Ivanovich Taneyev) からすると、4人の被献呈者は彼の師と兄弟子たちということになります。また、1913年にモスクワで作曲の教師をしていて、音楽学者ゲオルギー・ポリャノーフスキー (Georgy Polyanovsky, 1894 - 1983) を指導していた (Марина Раку "Музыкальная классика в мифотворчестве советской эпохи", p. 461) とありました。