2014-12-29

100th Death Anniversary of Robert Martin Henriques

Robert Martin Henriques (1858-1914) - Méditation, prélude sur H. A. G. E.

今日は、デンマークの作曲家・チェロ奏者・批評家・指揮者、ローバート・マーティン・ヘンレゲスの没後100年の命日です。今回はヘンレゲス作曲「瞑想、新市庁舎の塔の鐘の動機 H-A-G-E による前奏曲」を弾きました。

ヘンレゲス家は音楽を愛好する家庭で、ローバートの父は外国の音楽家、エドヴァルド・グリーグやアントン・ルビンシテインらと親交を結んでいました。ローバートはデンマークの首都コペンハーゲンに生まれ、同地でフリッツ・ベンディクス (Fritz Bendix)、フランツ・ネルダ (Franz Neruda) にチェロを師事、1877年にドレスデンに移住してフリードリヒ・グリュッツマッハー (Friedrich Grützmacher)、ダーヴィト・ポッパー (David Popper) にチェロを、エトムント・クレッチュマー (Edmund Kretschmer) に作曲を師事しました。同姓の作曲家、フィニ・ヘンレゲス (Fini Henriques) とは遠い親戚らしいです。

1795年コペンハーゲン大火で焼失した旧市庁舎の代わりに1892年から1905年にかけて建設されたコペンハーゲン市庁舎 (Københavns Rådhus) を記念して書かれた作品で、その塔にある鐘の動機 H-A-G-E (シ-ラ-ソ-ミ) が何度も繰り返し現れます。この庁舎は現在まで使われていて、その鐘もこの4つの音を今でも鳴らしているようです。デンマーク語ではありますが、 Rådhusklokkerne i København | Det Kongelige Bibliotek にこの鐘とそれに関連する楽曲について詳しく書かれています。

2014-12-28

F. Liszt / S. Feinberg - Gretchen from the Faust Symphony

Franz Liszt (1811-1886) / Samuil Feinberg (1890-1962) - Children's Album No. 12. Margarita (Gretchen from the Faust Symphony, S. 108)

フランツ・リスト作曲「ファウスト交響曲 S. 108」第2楽章「グレートヒェン」の、サムイル・フェインベルクによるピアノ独奏のための編曲を弾きました。

この作品はフェインベルクの死後に彼の教え子ミハイル・ゲオルギエヴィチ・ソコローフ (1908-2000) により「子供のアルバム」としてまとめて出版された17の小品の一つです。編曲とはいっても原曲の冒頭36小節に基づいた37小節の作品ということで、291小節ある原曲の約8分の1の長さになっています。リスト自身による編曲 (S. 513) と比べると、オクターヴを単音にするなどしていてやや易しく書かれています。

2014-12-23

Carl Czerny - Grandes études de salon, Op. 756, etc.

今年の9月と12月に撮ったチェルニーの作品の演奏動画を紹介します。

L'art de préluder (Die Kunst des Präludierens ; The Art of Preluding), Op. 300; No. 109. Choral in E major. Andante

「120の実例による前奏の技法、あらゆるジャンルの前奏曲と転調とカデンツァと幻想曲 Op. 300」より第109曲「コラール ホ長調」。題名にあるとおり、様々な様式の小品を集めた曲集の中の一曲です。急速なテンポのメカニカルな練習曲ばかりが目立つチェルニーですが、こういった作品があることも知られて欲しいですね。

25 Grandes études de salon, Op. 756; No. 16. Allegretto serioso in B minor

「25のサロン用大練習曲 Op. 756」より第16番「アレグレット・セリオーソ ロ短調」。付点のリズムが特徴的な作品です。テンポはそれほど速くありませんが、中盤でのポジション移動に苦労する練習曲でした。チェルニーの練習曲の中からおすすめを一曲選ぶとすればこれ、というくらいお気に入りの曲です。

Nouveau Gradus ad Parnassum, Op. 822; No. 31. Prélude et Fugue in G minor

「新グラドゥス・アド・パルナッスム Op. 822」より第31曲「前奏曲とフーガ ト短調」。把握しているチェルニーの「前奏曲とフーガ」の中で、前回弾いた Op. 822/7 と並んで最も小規模なものです。付点のリズムが特徴的な前奏曲に続き、十字架音型で始まる主題の荘厳なフーガが続きます。

チェルニーのピアノ曲といえば、先月開催されたピティナ・ピアノ曲事典公開録音コンサート 色とりどりの練習曲-新しいチェルニーの世界演奏動画が公開されましたね。演奏会を企画した上田泰史さんによる「チェルニー30番」再考の連載もおすすめです。